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平成23年度特別解答
問題1
16ビットのダウンカウントのカウンタを用い、そのカウンタの値が0になると割込みを発生させるハードウェアタイマがある。 カウンタに初期値として10進数の150をセットしてタイマをスタートすると、最初の割込みが発生するまでの時間は何マイクロ秒か。 ここで、タイマクロックは16MHzを32分周したものとする。
ア | 0.3 |
イ | 2 |
ウ | 150 |
エ | 300 |
解答:エ
<解説>
- 分周とは周波数を下げることである。16MHzのシステムクロックを32分周して周波数16MHz÷32=0.5MHz=500kHzのタイマクロックとして用いる。
⇒毎秒500×103回のカウントダウンが行なわれる。 - カウンタが150から0までカウントダウンされると最初の割込みが発生する。
⇒150÷(500×103)=0.3×10-3秒=300マイクロ秒
問題2
セットアソシアティブ方式のキャッシュメモリを含めたメモリシステムの平均メモリアクセス時間を短縮するために行う対策のうち、ライト時のミスペナルティを増加させるものはどれか。
ア | ウェイ数を増加させる。 |
イ | エントリ数を増やす。 |
ウ | 仮想アドレス変換時間をなくす。 |
エ | ブロックサイズを大きくする。 |
解答:エ
<解説>
ア | × | ウェイ数とは、主記憶上の1個のメモリブロックに対応させるキャッシュライン数である。ウェイ数が多いほど競合が少なくヒット率は高くなる。したがって、ミスペナルティは減少する。 |
イ | × | エントリは、キャッシュメモリでのデータ管理単位である。エントリ数を増やすとキャッシュのヒット率は高くなる。したがって、ミスペナルティは減少する。 |
ウ | × | 仮想アドレス変換時間をなくすことはキャッシュの効果を高めるには有効であるが、ミスペナルティには影響しない。 |
エ | ○ | ブロックサイズを大きくするとミスヒット時のデータ転送時間が大きくなる。その結果、ミスペナルティは増加する。 |
問題3
バスプロトコルに関する記述のうち、適切なものはどれか。
ア | バスアービタがバスの調停を行い、調停の結果、使用権を取得した装置がバスを使用する。 |
イ | バススレーブがアドレスを出力して、転送相手の装置とその装置内の転送対象を指定する。 |
ウ | バススレーブは、バスを使用したデータ転送が終了すると、各信号線の駆動を停止する。 |
エ | バスマスタが、バスを時分割で使用するように調停を行うことによって、複数の装置がバスを使用できる。 |
解答:ア
<解説>
ア | ○ | バスアービタがバスの調停を行い、調停の結果、使用権を取得した装置がバスを使用する。 |
イ | × | バスマスタがアドレスを出力して、転送相手の装置とその装置内の転送対象を指定する。 |
ウ | × | バスマスタは、バスを使用したデータ転送が終了すると、各信号線の駆動を停止する。 |
エ | × | バスアビータが、バスを時分割で使用するように調停を行うことによって、複数の装置がバスを使用できる。 |
問題4
多重にハードウェア割込みが発生する組込みシステムにおけるISR(Interrupt Service Routine)の処理の説明のうち、適切なものはどれか。
ア | ISR処理時間が長い順に割込み優先度を与えると、システム全体のリアルタイム応答性が向上する。 |
イ | ISR処理中に、ほかの割込み要求を抑止する場合は、セマフォを用いる。 |
ウ | 最大割込み処理時間は、すべてのISR処理時間の合計であり、最も優先度の高い割込みが発生してから、そのISR処理の完了までの時間に相当する。 |
エ | 低い優先度の割込みによるISR処理中に割込み禁止を行うと、その間に発生した高い割込み優先度の割込みに対するISR応答時間は長くなる。 |
解答:エ
<解説>
ISR(Interrupt Service Routine:割り込みサービスルーチン)は、何らかのイベント発生を契機として実行中のタスクに割り込んで実行させる処理である。割り込まれた方の処理は実行可能状態となり、ISR処理が終わるまで待たされる。
ア | × | ISR処理時間が長い順に割込み優先度を与えると、割り込まれたタスクは長時間待たされる。その結果、システム全体のリアルタイム応答性が低下する。 |
イ | × | セマフォは資源の割当てや排他制御のために用いる仕組みであり、ほかの割込み要求を抑止することはできない。 |
ウ | × | 最大割込み処理時間は、すべてのISR処理時間の合計であり、最も優先度の低い割込みが発生してから、そのISR処理の完了までの時間に相当する。 |
エ | ○ | 低い優先度の割込み処理中に割込み禁止を行うと、処理中に発生する優先度の高い割込み処理が発生してもISR処理に移行しない。その結果、高い割込み優先度の割込みは待たされることになるのでISR応答時間は長くなる。 |
問題5
1画素当たり24ビットのカラー情報をビデオメモリに記憶する場合、横1,024画素、縦768画素の画像表示に必要なメモリ量は、約何Mバイトか。ここで、1Mバイトは106バイトとする。
ア | 0.8 |
イ | 2.4 |
ウ | 6.3 |
エ | 18.9 |
解答:イ
<解説>
- 画面の画素数を計算する。
1,024×768=786,432画素 - 1画素につき、24ビット(3バイト)のカラー情報がある。
786,432画素×3=2,359,296バイト≒2.4Mバイト
したがって、イが正解である。
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