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令和6年度秋季問題
問題30
大規模なシステム開発を受注したA社では,不足する開発要員を派遣事業者であるB社からの労働者派遣によって補うことにした。A社の行為のうち,労働者派遣法に照らして適切なものはどれか。
ア | システム開発が長期間となることが予想されるので,開発要員の派遣期間を3年とする契約を結ぶ。 |
イ | 派遣候補者の履歴書及び業務経歴書の提出をB社に求め,書類選考を行い,面接対象者を絞り込む。 |
ウ | 派遣された要員が大きな作業負担を負うことが見込まれるので,B社に20代男性の派遣を求める。 |
エ | 派遣労働者がA社の指揮命令に対して申し立てた苦情に自社で対応せず,その処理をB社に任せる。 |
大規模なシステム開発を受注したA社では,不足する開発要員を派遣事業者であるB社からの労働者派遣によって補うことにした。A社の行為のうち,労働者派遣法に照らして適切なものはどれか。
ア | システム開発が長期間となることが予想されるので,開発要員の派遣期間を3年とする契約を結ぶ。 |
イ | 派遣候補者の履歴書及び業務経歴書の提出をB社に求め,書類選考を行い,面接対象者を絞り込む。 |
ウ | 派遣された要員が大きな作業負担を負うことが見込まれるので,B社に20代男性の派遣を求める。 |
エ | 派遣労働者がA社の指揮命令に対して申し立てた苦情に自社で対応せず,その処理をB社に任せる。 |
解答:ア
<解説>
ア | ○ | 労働者派遣法では、原則として同一の派遣先における同一の組織単位での派遣労働者の受入期間は3年を上限としている(労働者派遣法第40条の2)。 したがって、システム開発業務における派遣契約を3年間とすることは、法律上認められた期間の範囲内であり、適法な契約である。 |
イ | × | 労働者派遣契約では、派遣先(A社)は個々の派遣労働者を特定して選定することはできない(いわゆる「事前面接の禁止」)。 労働者派遣法第26条第6項では、派遣先が労働者を特定するような行為(履歴書・職務経歴書の提出要求、面接、試験など)を禁止している。 したがって、A社がB社に対して派遣候補者の書類提出を求め、書類選考や面接を行うことは、労働者派遣の趣旨(指揮命令関係は派遣後に生じる)に反する行為であり、違法である。 |
ウ | × | 労働者派遣法および男女雇用機会均等法などにより、派遣先が派遣元に対して性別・年齢等の属性を指定して派遣を依頼することは禁止されている。 このような要請は、職業安定法第44条(差別的取扱いの禁止)および均等法第5条に抵触する可能性がある。 よって、A社が「20代男性」という条件で派遣を求めることは、不当な差別的取扱いにあたるおそれがあり、法令上不適切である。 |
エ | × | 派遣労働者は派遣先(A社)の指揮命令のもとで業務に従事するため、業務遂行や職場環境に関する苦情処理は派遣先の責任で対応すべきである(労働者派遣法第40条の4)。 一方、雇用主であるB社は、雇用契約に関する事項(賃金・福利厚生等)の苦情対応を行う立場にある。 したがって、A社が自らの指揮命令に関する苦情を無視し、B社に丸投げする行為は、派遣先としての法的責任を放棄する行為であり、不適切である。 |
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