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令和2年度秋季解答
問題11
PMBOKガイド第6版によれば,リスクにはプロジェクト目標にマイナスの影響を及ぼす"脅威"と,プラスの影響を及ぼす"好機"がある。リスクに対応する戦略のうち,"好機"に対する戦略である"強化"に該当するものはどれか。
ア | アクティビティを予定よりも早く終了させるために,計画よりも多くの資源を投入する。 |
イ | リスク共有のパートナーシップ,チーム,ジョイント・ベンチャーなどを形成する。 |
ウ | リスクに対処するために,時間,資金,資源の量などに関してコンティンジェンシー予備を設ける。 |
エ | リスクを定期的にレビューする以外の行動はとらず,リスクが顕在化したときにプロジェクト・チームが対処する。 |
解答:ア
<解説>
PMBOK に登場する用語の意味を問う問題。PMBOK(第6版)ではリスクを次のように定義している。
マイナスのリスクもしくは脅威に対する戦略
- エスカレーション: プログラムレベル,ポートフォリオレベル等(PM の上司やPMO 等)に判断を委ねる。
- 回避:リスクそのものを回避する
- 転嫁:保険や保障,契約などの工夫で責任を転嫁する
- 軽減:対応策をとってリスクそのものを軽減する
- 受容: 積極的に動くわけではなく現状のリスクを受け入れ,発生した時に備える
プラスのリスクもしくは好機に対する戦略
- エスカレーション: プログラムレベル,ポートフォリオレベル等(PM の上司やPMO 等)に判断を委ねる。
- 活用:確実に好機を掴むためそれを妨げる不確実性を除去する
- 共有:好機を掴む確率を上げるため第三者と共有する
- 強化:プラス要因を増加させる
- 受容:積極的に動くわけではなく現状のリスクを受け入れる
ア | ○ | プラスのリスクもしくは好機に対する戦略の強化の例である。早く終了させるための活動により多くの資源を注ぎ込むことは典型例アクティビティを予定よりも早く終了させるために,計画よりも多くの資源を投入する。 |
イ | × | 選択肢に“共有”という表現があるように,パートナーシップ,チーム,ジョイントベンチャーなどを形成するのは、プラスのリスクもしくは好機に対する戦略の“共有”の典型例になる。 |
ウ | × | コンティンジェンシー予備は,プラスのリスクもしくは好機に対する戦略の“受容”の戦略の典型例になる。 |
エ | × | レビュー以外の行動をとらないのは,プラスのリスクもしくは好機に対する戦略の“受容”の戦略の典型例になる。 |
問題12
品質の定量的評価の指標のうち,ソフトウェアの保守性の評価指標になるものはどれか。
ア | (最終成果物に含まれる誤りの件数)÷(最終成果物の量) |
イ | (修正時間の合計)÷(修正件数) |
ウ | (変更が必要となるソースコードの行数)÷(移植するソースコードの行数) |
エ | (利用者からの改良要求件数)÷(出荷後の経過月数) |
解答:イ
<解説>
ア | × | (最終成果物に含まれる誤りの件数)÷(最終成果物の量) →最終成果物1単位当たりに含まれる“誤りの件数” →信頼性に関する評価指標である。 |
イ | ○ | (修正時間の合計)÷(修正件数) →“1 件当たりの修正時間” →保守性の評価指標である。 |
ウ | × | (変更が必要となるソースコードの行数)÷(移植するソースコードの行数) →移植性に関する評価指標である。 |
エ | × | (利用者からの改良要求件数)÷(出荷後の経過月数) →出荷後1 か月あたりの“利用者からの改良要求件数” →機能性の合目的性に関する評価指標 |
問題13
次の契約条件でコストプラスインセンティブフィー契約を締結した。完成時の実コストが8,000万円の場合,受注者のインセンティブフィーは何万円か。
[契約条件] | ||
(1) | : | 目標コスト 9,000万円 |
(2) | : | 目標コストで完成したときのインセンティブフィー 1,000万円 |
(3) | : | 実コストが目標コストを下回ったときのインセンティブフィー 目標コストと実コストとの差額の70%を1,000万円に加えた額。 |
(4) | : | 実コストが目標コストを上回ったときのインセンティブフィー 実コストと目標コストとの差額の70%を1,000万円から減じた額。 ただし,1,000万円から減じる額は,1,000万円を限度とする。 |
ア | 700 |
イ | 1,000 |
ウ | 1,400 |
エ | 1,700 |
解答:エ
<解説>
目標コストが9,000 万円で完成時の実コストが8,000 万円なので,契約条件の(3)が適用される。
9,000 万円- 8,000 万円 + (9,000万円 - 8,000万円)×0.7 = 1,7000万円
したがって、(エ)が正解になる。
問題14
JIS Q 21500:2018(プロジェクトマネジメントの手引)によれば,プロセス"コミュニケーションの計画"の目的はどれか。
ア | プロジェクトに影響されるか,又は影響を及ぼす個人,集団又は組織を明らかにし,その利害及び関係に関連する情報を文書化すること |
イ | プロジェクトのステークホルダに対し要求した情報を利用可能にすること及び情報に対する予期せぬ具体的な要求に対応すること |
ウ | プロジェクトのステークホルダのコミュニケーションニーズを確実に満足し,コミュニケーションの問題が発生したときにそれを解決すること |
エ | プロジェクトのステークホルダの情報及びコミュニケーションのニーズを決定すること |
解答:エ
<解説>
ア | × | ステークホルダのマネジメントのプロセス「ステークホルダの特定」の説明になる。 |
イ | × | “実行”プロセス群の「情報の配布」の説明になる。 |
ウ | × | “監視”プロセス群の「コミュニケーションのマネジメント」の説明 |
エ | ○ | コミュニケーションの計画の主要な目的になる。 |
問題15
新システムの受入れ支援において,利用者への教育訓練に対する教育効果の測定を,カークパトリックモデルの4段階評価を用いて行う。レベル1(Reaction),レベル2(Learning),レベル3(Behavior),レベル4(Results)の各段階にそれぞれ対応したa~dの活動のうち,レベル2のものはどれか。
ア | a.受講者にアンケートを実施し,教育訓練プログラムの改善に活用する。 |
イ | b.受講者に行動計画を作成させ,後日,新システムの活用状況を確認する。 |
ウ | c.受講者の行動による組織業績の変化を分析し,ROIなどを算出する。 |
エ | d.理解度確認テストを実施し,テスト結果を受講者にフィードバックする。 |
解答:エ
<解説>
カークパトリックモデルとは,カークパトリック氏が提唱した教育の効果測定法のモデルである。
問題文に書かれているように4 段階評価を行う。選択肢を使った組み合わせは次のようになる。
したがって、イが正解である。
ア | a.受講者にアンケートを実施し,教育訓練プログラムの改善に活用する。 →レベル1(Reaction)に該当する |
イ | b.受講者に行動計画を作成させ,後日,新システムの活用状況を確認する。 →レベル2(Learning)に該当する |
ウ | c.受講者の行動による組織業績の変化を分析し,ROIなどを算出する。 →レベル3(Behavior)に該当する |
エ | d.理解度確認テストを実施し,テスト結果を受講者にフィードバックする。 →レベル4(Results)に該当する |
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