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平成28年度春季解答
問題11
COCOMOにはシステム開発の工数を見積もる式の一つに
MM = 3.0×(KDSI)1.12
がある。
開発規模(KDSI)と開発生産性(KDSI/MM)の関係を表したグラフはどれか。
ここで、MMは開発工数(人月)、KDSIは開発規模(注釈を除いたソースコードの行数、単位はk行)である。
解答:エ
<解説>
ア | × | 開発規模が大きくなるほど、上位工程に誤りがあった場合などの手戻りが大きくなる。よって開発生産性は低くなる。 |
イ | × | 開発規模が大きくなるほど、上位工程に誤りがあった場合などの手戻りが大きくなる。よって開発生産性は低くなる。 |
ウ | × | 開発規模(X軸)が0やマイナスになることはありえない。 |
エ | ○ | 開発規模が大きくなるほど、開発生産性は低くなる。 |
問題12
プロジェクトにどのツールを導入するかを、EMV(期待金額価値)を用いて検討する。
デシジョンツリーが次の図のとき、ツールAを導入するEMVがツールBを導入するEMVを上回るのは、Xが幾らより大きい場合か。
ア | 120 |
イ | 150 |
ウ | 200 |
エ | 240 |
解答:ウ
<解説>
EMVに関する問題。EMVでは,次のような計算式で期待金額価値を求めて,定量的に効果を比較し評価する。
期待金額価値=効果額×発生確率
これを基本に,この問題のようにデシジョンツリーと組み合わせてEMVを算出する場合,下記のような計算式になる。
ツールAを導入するEMV=Σ(効果額×発生確率−)120万円(かかった費用)
ツールBを導入するEMV=Σ(効果額×発生確率−)60万円(かかった費用)
上記の計算式に,それぞれを当てはめて計算すると次のようになる。
ツールAを導入するEMV =(X万円×60%+90万円×40%)-120万円=0.6X+36−120=0.6X−84
ツールBを導入するEMV =(120万円×60%+60万円×40%)−60万円=72+24−60=36
ツールAを導入するEMVがツールBのそれを上回る場合は次のようになる。
0.6X−84 >36
0.6X >120
X >200
したがって、ウが正解である。
問題13
プロジェクトのリスクを、デルファイ法を利用して抽出しているものはどれか。
ア | ステークホルダや経験豊富なプロジェクトマネージャといった専門家にインタビューし、回答を収集してリスクとしてまとめる。 |
イ | 複数のお互いに関係がないステークホルダやプロジェクトマネージャにアンケートを行い、その結果を要約する。 さらに、要約結果でアンケートを行い、結果を要約することを繰り返すことでリスクをまとめる。 |
ウ | プロジェクトチームのメンバにPMOのメンバやステークホルダを複数名を加え、一堂に会して会議をし、リスクに対する意見を出し合い、進行役がリスクとしてまとめる。 |
エ | プロジェクトを強み、弱み、好機、脅威のそれぞれの観点及びその組合せで分析し、リスクをまとめる。 |
解答:イ
<解説>
デルファイ法は、複数の専門家にアンケート調査を行い、最も多かった意見に対し再度アンケートを行う。このフローを繰り返し、意見を集約させ情報の精度を高めていく手法である。
ア | × | インタビュー法に関する説明である。 |
イ | ○ | デルファイ法に関する説明である。 |
ウ | × | インスペクション法に関する説明である。 |
エ | × | SWOT(Strength,Weakness,Opportunity,Threat)分析に関する説明である。 |
問題14
PMBOKによれば、プロジェクトリスクマネジメントにおける定性的リスク分析で実施することのうち、適切なものはどれか。
ア | 感度分析によって、プロジェクトに与える影響が大きいリスクを明確にする。 |
イ | 定量的リスク分析の結果に基づいて、リスクの優先順に付けをする。 |
ウ | リスク対応計画に基づいて、発生するおそれがあるリスクを具体的に特定する。 |
エ | リスクの発生確率と影響度を査定した結果に基づいて、リスク登録簿を更新する。 |
解答:エ
<解説>
ア | × | 定量的リスク分析で使用される技法である。 |
イ | × | 定性的リスク分析は,通常,定量的リスク分析に先だって実施される。 |
ウ | × | リスク特定プロセスの説明である。 |
エ | ○ | 定性的リスク分析の説明になる。リスクの発生確率と影響度を査定する"発生確率・影響度マトリックス"は,定性的リスク分析の代表的なツールと技法である。 |
問題15
PMBOKのリスクマネジメントにおけるリスク対応戦略の適用に関する記述のうち、適切なものはどれか。
ア | 強化は、マイナスのリスクに対して使用される戦略である。 |
イ | 共有は、プラスのリスクとマイナスのリスクのどちらにも使用される戦略である。 |
ウ | 受容は、プラスのリスクとマイナスのリスクのどちらにも使用される戦略である。 |
エ | 転嫁は、プラスのリスクに対して使用される戦略である。 |
解答:ウ
<解説>
リスクマネジメントとは、プロジェクトのリスクを識別し、分析し、リスクに対応するための系統的なプロセスで、プロジェクトの目標に対してプラスに働く事象(プラスのリスク)には、それが起こる確率とその発生結果が最大となるように、マイナスに働く事象(マイナスのリスク)については、逆に最小となるようにすることである。
マイナスのリスク及びプラスのリスクに対する戦略にはそれぞれ4種類ある。
■マイナスのリスク
- 回避
- リスクを避けるためプロジェクトマネジメント計画を変更する。
- 転嫁
- 脅威への対応を取る責任と共に脅威によるマイナスの影響の一部または全部を第三者に移転する。
- 軽減
- 発生確率と発生結果のいずれかあるいは両方を受容可能な限界値まで減らす。
- 受容
- 回避,転嫁,軽減などの対応策を実勢せず、リスクの存在をそのまま受け入れる。
■プラスのリスク
- 活用
- 好機が確実に到来するため、何らかの策を講じる。
- 共有
- 好機をとらえる能力の最も高い第三者に好機を実行する権限を移転する。
- 強化
- 好機の発生確率やプラスの影響を増加させるための策を講じる。
- 受容
- 積極的に利益は追求しないが、好機の実現時に利益を享受する。
ア | × | 強化は、プラスのリスクに対して使用される戦略である。 |
イ | × | 共有は、プラスのリスクに対して使用される戦略である。 |
ウ | ○ | 受容は、プラスのリスクとマイナスのリスクのどちらにも使用される戦略である。 |
エ | × | 転嫁は、マイナスのリスクに対して使用される戦略である。 |
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