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平成16年度春季解答
問題56
ウォータフォール型のソフトウェア開発において、運用テストで発見された誤りの修復に要するコストに関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア | 外部設計及び内部設計の誤りは、プログラムだけでなく、マニュアルなどにも影響を与えるので、コーディングの誤りに比べて修復コストは高い。 |
イ | コーディングの誤りは、修復のための作業範囲がその後の全行程に及ぶので、要求定義の誤りに比べて修復コストは高い。 |
ウ | テストケースの誤りは、テストケースの修正とテストのやり直しだけでは済まされないことが多いので、外部設計及び内部設計の誤りに比べて修復コストは高い。 |
エ | 要求定義の誤りは、設計レビューによってほとんど除去できるので、もし発見されても、コーディングの誤りに比べて修復コストは低い。 |
解答:ア
<解説>
ウォータフォールモデルは、上流から下流に向かって基本的に一方通行で行う開発モデルである。ウォータフォールモデルでは、見直しが上流であるほど影響が大きくなる。
ウォータフォールモデルの開発工程は、
- 要求定義
- 外部設計
- 内部設計
- プログラム設計
- コーディング(プログラミング)
- テスト
なので、修復コストは要求定義誤り > 外部設計及び内部設計の誤り > コーディングの誤り > テストケースの誤りの順に大きくなる。
ア | ○ | 外部設計及び内部設計の誤り > コーディングの誤りなので正しい。 |
イ | × | 要求定義誤り> コーディングの誤りなので誤り。 |
ウ | × | 外部設計及び内部設計の誤り>テストケースの誤りなので誤り。 |
エ | × | 要求定義誤り > コーディングの誤り なので誤り。 |
問題57
データのバックアップ方法に関する記述のうち、最も適切なものはどれか。
ア | 業務処理がバックアップ処理と重なると正常にバックアップされない可能性があるので、両方の処理が重ならないようにスケジュールを立てた方がよい。 |
イ | バックアップ作業時間を短くするためには、同一記憶媒体内に別のファイル名にしたバックアップデータを置いた方がよい。 |
ウ | バックアップデータからの復旧時間を短くするためには、差分バックアップを採用した方がよい。 |
エ | バックアップ用媒体は、ランダムアクセスが可能な媒体にした方がよい。 |
解答:ア
<解説>
ア | ○ | 業務処理がバックアップ処理と重なると正常にバックアップされない可能性があるので、両方の処理が重ならないようにスケジュールを立てた方がよい。 |
イ | × | 同一記憶媒体内にバックアップデータを置くと媒体障害の場合にバックアップデータも失われる。別の媒体にバックアップデータは置くべきである。 |
ウ | × | 差分バックアップ方式は、バックアップ時間は短いが、復旧時間は長くなる。よってバックアップデータからの復旧時間を短くするには、フルバックアップを採用した方がよい。 |
エ | × | バックアップ媒体は容量,アクセス速度,コストなどを元に考慮すべきである。ハードディスクやUSBなどのようにランダムアクセスが可能な媒体でも磁気テープのようなランダムアクセスができないものでも構わない。 |
問題58
与えられたデータから、一定の規則に従って数値を算出する。この数値を基に検査文字を定め、データの最終けたに付加することによって、入力データの検査を行う方法がある。次の規則を用いた場合に、4 けたの数値データ"2131"に付加する検査文字として、正しいものはどれか。
[規則] | |
(1) | 与えられたデータの各けたに、先頭から係数 4,3,2,1 を割り当てる。 |
(2) | 各けたの数値と割り当てた係数との積の和を求める。 |
(3) | (2)で求めた値を 11 で割って余りを求める。 |
(4) | (3)で求めた余りの数字を検査文字とする。余りが 10 のときは X を検査文字とする。 |
ア | 1 |
イ | 3 |
ウ | 5 |
エ | 7 |
解答:エ
<解説>
[規則] | |||
(1) | 与えられたデータの各けたに、先頭から係数 4,3,2,1 を割り当てる。 | → | 4 けたの数値データ"2131"の各桁に係数を割り当てる。 (2:4),(1:3),(3:2),(1:1) |
(2) | 各けたの数値と割り当てた係数との積の和を求める。 | → | (2×4)+(1×3)+(3×2)+(1×1)= 18 |
(3) | (2)で求めた値を 11 で割って余りを求める。 | → | 18 ÷ 11 =1 余り7 |
(4) | (3)で求めた余りの数字を検査文字とする。余りが 10 のときは X を検査文字とする。 | → | (3)で求めた余りの数字の7を検査文字とする。 |
問題59
パソコンの主記憶の効率的な使用に関する記述として、適切なものはどれか。
ア | 各種のアプリケーションの処理中に異常終了が何回か発生したときは、デフラグメンテーションを実行する。 |
イ | 主記憶領域の使用率を下げるために、デスクトップ上の利用頻度の少ないアイコンを削除したり、不要なウィンドウを閉じたりする。 |
ウ | 主記憶領域を確保するために、アーカイブ機能で書庫を整理する。 |
エ | データの記録と消去を頻繁に行った結果、処理速度が遅くなった場合は、スキャンディスクを実行する。 |
解答:イ
<解説>
ア | × | デフラグメンテーションとは、コンピュータのファイルシステムにおけるフラグメンテーションを解消することである。アプリケーションの異常終了とは直接的な関係はない。再起動等の対応が適切である。 |
イ | ○ | 主記憶領域の使用率を下げるために、デスクトップ上の利用頻度の少ないアイコンを削除したり、不要なウィンドウを閉じたりするのは適切である。 |
ウ | × | アーカイブ機能とは、複数のファイルをまとめることで、領域の確保とは関係がない。 |
エ | × | スキャンディスク( Scan Disk )とは、ディスクの不良セクタなどを調べ、正常な状態に直す作業である。物理的障害を検索するものであり、処理速度の原因には直接的ではない。 なお、データの記録と消去を頻繁に行った結果、処理速度が遅くなった場合は、デフラグを実行する。 |
問題60
コンピュータシステムの運用時におけるデータのインテグリティを保証するための対策として、適切なものはどれか。
ア | データのインテグリティ保証を強化するための対策は、セキュリティ対策とは区別して、システムの運用段階において検討するのがよい。 |
イ | データのインテグリティを保証するためには、プログラムによる機械的なチェックだけでなく、必要に応じて人手によるチェックも重要となる。 |
ウ | データのチェックはプログラムで機械的に実行されるので、システムの運用マニュアルに従ってチェックする必要はない。 |
エ | ネットワークを使ってデータを受け渡す場合は、データのインテグリティを保証するために、データを暗号化する必要がある。 |
解答:イ
<解説>
インテグリティとは、RASISのI(Integrity:保全性)に該当し、システム障害や誤操作に対し壊れにくい性質のことである。
ア | × | イングリティの確保は、比較的早い設計段階やそれ以前に検討するべきといえる。 |
イ | ○ | 機械的にチェックできない項目も多々あるので、人的なチェックも重要な項目である。 |
ウ | × | データのチェックは機械的チェック,人的チェックどちらも有用である。 |
エ | × | 暗号化はセキュリティーの観点からは非常に重要なものとなるが、データのインテグリティ保証に関しては関係ない。 |
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