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令和6年度秋季解答
問題1
プロジェクトマネジメントにおけるプロジェクトマネジメント計画書の説明として,適切なものはどれか。
ア | 組織のニーズ,目標ベネフィットなどを記述することによって,プロジェクトの目標について,また,プロジェクトがどのように事業目的に貢献するかについて明確にした文書 |
イ | どのようにプロジェクトを実施し,監視し、管理するのかを定めるために,プロジェクトを実施するためのベースライン,及び,プロジェクトを実行し,管理し,終結する方法を明確にした文書 |
ウ | プロジェクトの最終状態を定義することによって,プロジェクトの目標,成果物,要求事項及び境界を含むプロジェクトスコープを明確にした文書 |
エ | プロジェクトを正式に許可する文書であって,プロジェクトマネージャを特定して適切な責任と権限を明確にし,ビジネスニーズ,目標,期待される結果などを明確にした文書 |
解答:イ
<解説>
プロジェクトマネジメント計画書は、プロジェクトを計画的に実行するための指針やプロジェクトの目的、目標、スコープ、制約/前提条件、実施計画、体制/役割、マネジメントプロセスなどを文書でまとめたものである。
プロジェクトマネジメント計画書を作成すればプロジェクトをスムーズに進めやすくなり、成功の可能性が高まる。
ア | × | プロジェクト憲章の説明である。 |
イ | 〇 | プロジェクトマネジメント計画書の説明である。 なお、プロジェクトマネジメントにおけるベースラインとは、あらかじめ設定されるプロジェクトの指針のことである。 |
ウ | × | プロジェクトスコープ記述書の説明である。 |
エ | × | プロジェクト憲章の説明である。 |
問題2
プロジェクトマネジメントで使用する責任分担マトリックス(RAM)の一つに,RACIチャートがある。RACIチャートで示す四つの"役割又は責任"の組合せのうち,適切なものはどれか。
ア | 実行責任,情報提供,説明責任,相談対応 |
イ | 実行責任,情報提供,説明責任,リスク管理 |
ウ | 実行責任,情報提供,相談対応,リスク管理 |
エ | 実行責任,説明責任,相談対応,リスク管理 |
解答:ア
<解説>
RACI は、「R: Responsible (実行責任者)」「A: Accountable (説明責任者)」「C: Consulted (協業先、相談先)」「I: Informed (報告先、情報提供)」の 4 つの単語の頭文字を取って名付けられたビジネス用語です。この 4 文字を順番に適用することで、責任の所在 (責任範囲) を明確にし、チームの混乱を減らせます。RACIチャートは、個々のタスクで実行責任者、説明責任者などを視覚化できる方法として便利に活用可能です。
正解はアである。リスク管理はRACIには存在しないため、イ,ウ,エは誤りである。
問題3
JIS Q 21500:2018(プロジェクトマネジメントの手引)によれば,プロセス"プロジェクト組織の定義"の目的はどれか。
ア | 活動リストの活動ごとに必要な資源を決定すること |
イ | プロジェクトに影響されるか,又は影響を及ぼす個人,集団又は組織を明らかにし,その利害及び関係に関連する情報を文書化すること |
ウ | プロジェクトに関連する役割,責任及び権限について,プロジェクトに関係する全ての当事者から必要な全てのコミットメントを得ること |
エ | プロジェクトの完遂に必要な人的資源を得ること |
解答:ウ
<解説>
JIS Q 21500:2018(プロジェクトマネジメントの手引)における「プロジェクト組織の定義」プロセスは、プロジェクトに影響を与える可能性のある個人、グループ、組織を特定し、それぞれの利害関係や関連情報を文書化するプロセスである。
JIS Q 21500:2018の4.3.17 プロジェクト組織の定義の中で、「プロジェクト組織の定義の目的は,プロジェクトに関係する全ての当事者から必要な全てのコミットメントを得ることである。プロジェクトに関連する役割,責任及び権限は,プロジェクトの性格及び複雑さに従って定義し,遂行組織の既存の方針を考慮することが望ましい。」との記述がある。
すなわち、ウが正解である。
問題4
EVMで管理しているプロジェクトがある。図は,プロジェクトの開始日から完了予定日までの期間の半分が経過した時点での状況である。完成時総予算(BAC)どおりに完了させるために達成することが必要となるコスト効率の指標である残作業効率指数(TCPI)の値はどれか。ここで,TCPIは小数第2位を四捨五入するものとする。
ア | 0.6 |
イ | 0.9 |
ウ | 1.1 |
エ | 1.3 |
解答:ウ
<解説>
EVM(Earned Value Management:アーンドバリュー分析)とは、プロジェクトやシステムの工数を「費用」すなわち金銭価値でとらえることによって、プロジェクトのスケジュールの遅れやコストの超過などを具体的な数値で可視化する進捗管理手法である。
EVMでは、コスト,スケジュール(進捗)の両面からプロジェクトの状況とパフォーマンスを数値化することができる。
EVMで使用される主な用語のAC,EV,PCは次のとおりである。
- AC(Actual Cost:実コスト)
- 発生したコストの総額
- EV(Earned Value:出来高)
- 完了した作業の承認済み予算で図った価値
- PV(Planned Value:計画価値)
- 予定した作業に割り当てられた承認済み予算
残作業効率指数(TCPI)を求める計算には2つの方法がある。
- BAC(完成時総予算)から求める
- TCPI=(BAC-EV)/(BAC-AC)
- EAC(完成時総コスト見積もり)から求める計算
- TCPI=(BAC-EV)/(EAC-AC)
今回は、BACが100と記載されているので、BACから求める。
100-34/100-40
=66/60
=1.1
となる。したがって、ウが正解である。
問題5
あるプロジェクトの作業が図のとおり計画されているとき,最短日数で終了するためには,作業Hはプロジェクトの開始から遅くとも何日経過した後に開始しなければならないか。
ア | 12 |
イ | 14 |
ウ | 18 |
エ | 21 |
解答:エ
<解説>
アローダイアグラムに関する問題である。
作業H の最遅開始時間が問われているので,まずはクリティカルパスを明確にする。
クリティカルパス(作業の所要日数)はA→D→Gの30日になる(下図の赤矢印)。
次に,作業H,I の所要日数を求め,作業H の最遅開始日を求める。
作業H,I の所要日数の合計値は9 日。作業の所要日数の30 日から9 日を差し引いた21 日が作業H の最遅開始日となる。
したがって、正解はエとなる。
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