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令和6年度秋季解答
問題11
JIS Q 21500:2018(プロジェクトマネジメントの手引)によれば,対象群"リスク"の活動内容のうち,プロセス"リスクへの対応"で実施するものはどれか。
ア | プロジェクトの混乱を最小限にするために,リスク対応の有効性を評価しながらのリスク対応の進捗をレビューする。 |
イ | プロジェクトの目標への脅威を軽減するために,プロジェクトの予算及びスケジュールに資源と活動とを投入することによって,リスクを扱う。 |
ウ | プロジェクトのライフサイクルを通じて,プロジェクトの目標に影響を与えることがある潜在的リスク事象及びその特性の決定を繰り返す。 |
エ | リスクの優先順位を定めるために,各リスクの発生確率及びそのリスクが発生した場合にプロジェクトの目標に及ぼす結果を推定する。 |
解答:イ
<解説>
本問は JIS Q 21500:2018(プロジェクトマネジメントの手引) において、対象群「リスク」の中のプロセス「リスクへの対応」で実施する活動を問うものである。 「リスクへの対応」とは、識別・評価されたリスクに対して、具体的にどのように対処するかを決め、実際に資源を投入して実行する活動を指す。これには、リスクの回避、軽減、移転、受容などの手段が含まれる。
ア | × | この活動は、リスク対応策が計画通りに進んでいるか、またその対応策が期待される効果を上げているかを監視・評価するものである。これは「リスクの管理(監視とコントロール)」プロセスに該当する活動であり、「リスクへの対応」プロセスではない。 |
イ | ○ | 「リスクへの対応」プロセスの中核的な活動である。特定されたリスク(脅威)に対して、具体的な対応策を計画し、その実行に必要な資源(予算や人的資源)と活動をプロジェクトの計画に組み込むことで、リスクを軽減または除去する。これには、リスク回避、リスク転嫁、リスク軽減、リスク受容などの戦略が含まれる。 |
ウ | × | この活動は、潜在的なリスクを特定し、その性質を理解するものである。これは「リスクの特定」プロセスに該当する活動であり、「リスクへの対応」プロセスではない。 |
エ | × | この活動は、特定されたリスクの発生可能性と影響度を分析し、それに基づいてリスクの優先順位を決定するものである。これは「リスクの分析」プロセス(定性的リスク分析および定量的リスク分析)に該当する活動であり、「リスクへの対応」プロセスではない。 |
問題12
新しく編成するプロジェクトチームの開発要員投入計画に基づいてPCをレンタルで調達する。調達の条件を満たすレンタル費用の最低金額は何千円か。 〔開発要員投入計画〕
〔調達の条件〕 (1)PCのレンタル契約は月初日から月末日までの1か月単位であり,日割りによる精算は行わない。 (2)PC1台のレンタル料金は月額5千円である (3)台数にかかわらず,レンタルPCの受入れ時のセットアップに2週間,返却時のデータ消去に1週間を要し,この期間はレンタル期間に含める。 (4)セットアップとデータ消去は,プロジェクトチームの開発要員とは別の要員が行う。 (5)開発要員は月初日に着任し,月末日に離任する。 (6)開発要員の役割にかかわらず,共通仕様のPCを1人が1台使用する。 (7)レンタル期間中にPCを他の開発要員に引き渡す場合,データ消去,セットアップ及び引渡しの期間は不要である。 <.p>
ア | 350 |
イ | 470 |
ウ | 480 |
エ | 500 |
解答:イ
<解説>
全ての開発要員が1人1台のPCを使用するため,開発要員がプロジェクトの作業に必要なPCの述べ台数(台月)は工数である70(人月)と等しい。
また,PCのセットアップに2週間,返却時のデータ消去に1週間要するということであるが,PCのレンタルは1か月単位なので,PCの利用を開始する前の1か月,
PCの利用が終了した次の1か月,プラスでレンタル契約を行う必要がある。つまり,PCの増減が発生するときには,プラス1か月を加算しなければならない。
(例えば,2月に2台必要になるので,1月に2台分の契約が追加となる。9月で7台利用終了するので,10月に7台分の返却が発生する)
ただし,8月については,前後の月(7月と9月)にそれぞれ11台必要なのに8月だけ9台しか必要ではなくなる。
このとき,7月をもって2台を返却し,9月から2台追加すると追加,返却にともない4(台月)の契約が追加となる。それよりも8月は,利用者はいないが2台分の契約をそのままにしておけば,工数にプラスしなければならない述べPC台数は2(台月)で済む。
したがって,8月だけ台数は据え置き(2台分追加),それ以外は要員が増える前,要員が減るときに増減要員数分をプラスすると, 24(台月)プラスする必要があることになる。つまり,契約としては 70(台月)+24(台月)=94(台月)必要となる。PC1台のレンタル料は5千円なので,調達の条件を満たすレンタル費用の最低金額は,94(台月)×5(千円)=470(千円)となる。したがって,正解はイである。
問題13
ソフトウェアパターンのうち,GoFのデザインパターンの説明はどれか。
ア | Javaのパターンとして,引数オブジェクト,オブジェクトの可変性などで構成される。 |
イ | オブジェクト指向開発のためのパターンであって,生成,構造,振る舞いの三つのカテゴリに分類される。 |
ウ | 構造,分散システム,対話型システム及び適合型システムの四つのカテゴリに分類される。 |
エ | 抽象度が異なる要素を分割して階層化するためのLayers,コンポーネント分割のためのBrokerなどで構成される。 |
解答:イ
<解説>
GoF(Gang of Four)のデザインパターンは、ソフトウェア設計における一般的な問題を解決するための23種類の再利用可能な設計ソリューションであり、オブジェクト指向設計の文脈で広く知られている。
ア | × | GoFのデザインパターンに特有の説明ではない。引数オブジェクトやオブジェクトの可変性は、Javaプログラミングにおける設計上の考慮事項やイディオムの一部であり、GoFのデザインパターンとは異なる概念である。GoFのパターンは特定のプログラミング言語に限定されるものではなく、オブジェクト指向言語全般に適用可能な抽象的な設計原則である。 |
イ | 〇 | この記述がGoFのデザインパターンの正確な説明である。GoFの23のデザインパターンは、その目的によって以下の3つのカテゴリに分類される。 ・生成(Creational)パターン: オブジェクトの生成メカニズムに関わるもので、インスタンス化の柔軟性を高める。Factory Method, Abstract Factory, Singleton, Builder, Prototypeなどがある。 ・構造(Structural)パターン: オブジェクトとクラスの構成(組み合わせ方)に関わるもので、大規模な構造を構築する。Adapter, Bridge, Composite, Decorator, Facade, Flyweight, Proxyなどがある。 ・振る舞い(Behavioral)パターン: オブジェクト間の相互作用と責任の割り当てに関わるもので、アルゴリズムと通信の効率化を図る。Chain of Responsibility, Command, Interpreter, Iterator, Mediator, Memento, Observer, State, Strategy, Template Method, Visitorなどがある。 |
ウ | × | GoFのデザインパターンに用いられるものではない。この分類は、より広範な「ソフトウェアアーキテクチャパターン」や「エンタープライズ統合パターン」といった、より高レベルのパターン分類体系に見られるものである。 |
エ | × | GoFのデザインパターンではなく、「アーキテクチャパターン」や「エンタープライズアプリケーションアーキテクチャパターン」の説明である可能性が高い。Layers(レイヤードアーキテクチャ)やBrokerは、システム全体の構造を定義するアーキテクチャレベルのパターンであり、GoFのデザインパターン(オブジェクトやクラス間の関係を記述する)よりも抽象度が高い。 |
問題14
基幹システムの更改に伴って,移行リハーサルを実施した。移行リハーサルの目的に照らして移行リハーサルの完了の仕方として,適切なものはどれか。
ア | 移行作業中に,環境に起因する問題が発生したが,その場で対応して移行手順どおりに移行作業を終了した。発生した問題については,移行作業終了後に,本番の環境では発生しないことが確認できたので,移行リハーサルを完了した。 |
イ | 移行作業中に問題が発生しなかったので,計画していた切り戻しの作業は実施せずに,移行リハーサルを完了した。 |
ウ | 一部の移行作業の担当者が移行作業中に不在となる時間があったので,計画していた移行作業の作業順を入れ替えて計画時間内に移行作業を終了し,移行リハーサルを完了した。 |
エ | 計画していた移行作業の時間を超過したが,手順どおりに移行作業を終了したので,移行リハーサルを完了した。 |
解答:ア
<解説>
移行リハーサルの目的は、次のような点を事前に検証することである。
ア | 〇 | 問題が発生しても、それが本番環境で再発しないことが確認できたのであれば、リハーサルの目的は達成されていると言える。 |
イ | × | 移行リハーサルの重要な目的の一つに、万が一、移行に失敗した場合に旧システムへ戻す「切り戻し(ロールバック)」手順の確認がある。問題が発生しなかったとしても、切り戻し手順の有効性や所要時間は、実際に実施してみなければ分からない。切り戻し手順の確認を怠ることは、本番移行時のリスクを増大させる。 |
ウ | × | 移行リハーサルでは、策定した移行手順、担当者の役割分担、およびそれらに基づく作業順序が適切であるかを検証する。担当者の不在に合わせて作業順序を入れ替えることは、計画された手順の検証を歪めることになる。本番移行時には予定通り担当者が揃わない可能性も考慮し、特定の担当者への依存度を下げる、あるいは代替者を明確にするなどの対策を検討する必要があるが、リハーサル中に勝手に手順を変更することは望ましくない。 |
エ | × | 移行リハーサルの重要な目的の一つは、実際の移行作業にかかる時間を測定し、計画の妥当性を確認することである。計画時間を大幅に超過した場合、その原因を究明し、手順の見直し、作業の効率化、あるいは計画時間の再見積もりを行う必要がある。単に手順どおりに完了したという理由だけでリハーサルを終えてしまうと、本番移行時にスケジュール遅延が発生するリスクが残る。 |
問題15
CMMIモデルV2.0における成熟度レベルの状態のうち,レベル4の状態はどれか。
ア | 企業組織は,継続的な改善に焦点を合わせ,機会と変化に対して方向転換や対応ができるよう構築される。組織の安定性が,プラットフォームに機敏性と革新をもたらす。 |
イ | 企業組織は,定量的な実績の改善目標(予測可能)とともにデータで運営され,内外の利害関係者のニーズを満たすように調整する。 |
ウ | 組織全体の標準が,プロジェクト,プログラム,及びポートフォリオにわたって手引を提供する。 |
エ | プロジェクトレベルで管理されている。プロジェクトは,計画され,実施され,測定され,そして制御されている。 |
解答:イ
<解説>
<解説>
CMMIの成熟度レベルは、組織のプロセスの成熟度を5段階に分類している。各レベルの特徴は次のとおりである。
ア | レベル5(Optimizing) の説明である。組織が革新性を発揮し、改善と機敏性を重視する段階に該当する。 |
イ | レベル4(Quantitatively Managed) の説明である。組織はデータドリブンで運営され、定量的な手法によってプロセスや成果を予測可能にする。 |
ウ | レベル3(Defined) の説明である。標準化されたプロセスが組織全体に浸透している段階であり、レベル4の特徴ではない。 |
エ | レベル2(Managed) の説明である。プロジェクト単位で計画や制御が行われる段階である。 |
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