必ず受かる情報処理技術者試験

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令和6年度秋季解答

問題16

アジャイル開発において,質の高いユーザーストーリーを作成するための観点として"INVEST"がある。ユーザーストーリーに対する評価のうち,"INVEST"の観点に合致したものはどれか。

開発者にとって,価値があるものになっている。
作業期間に対して適切な大きさになっている。
詳細な要件や実装方法が定義され,議論や交渉の余地がない状態になっている。
他のユーザーストーリーとの依存関係をもっている。

解答:イ

<解説>

アジャイル開発において、質の高いユーザーストーリーを評価する観点として知られるのが INVEST である。

これは以下の6つの要素の頭文字をとったものである。

  • I (Independent):独立していること。
  • N (Negotiable):交渉可能であること。
  • V (Valuable):価値があること。
  • E (Estimable):見積もり可能であること。
  • S (Small):小さいこと。
  • T (Testable):テスト可能であること。
  • × INVESTの「V」は ユーザーにとって価値がある(Valuable) ことを指しており、開発者にとって価値があるかどうかは観点ではない。ユーザーストーリーはユーザーや顧客に価値を提供するものでなければならない。
    INVESTの「S(Small)」の観点に合致する。ユーザーストーリーはスプリントなどの短期間で完了できる粒度でなければならない。大きすぎるストーリーは分割し、小さな単位にして扱うことが推奨される。
    × INVESTの「N(Negotiable)」は、ユーザーストーリーは 交渉可能で柔軟 であるべきことを意味する。詳細を最初から完全に固定してしまうと、顧客やチームとの対話による調整ができず、アジャイル開発の本質に反する。
    × INVESTの「I(Independent)」は、ユーザーストーリーは 他のストーリーから独立している ことを理想とする。依存関係が強いと優先順位付けや開発の柔軟性が制約されるため、望ましくない。

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    問題17

    "アジャイルソフトウェア開発宣言"で述べている価値に関する記述のうち,適切なものはどれか。

    計画に従うことに価値があることを認めながらも,自己組織化されたチームによる裁量に,より価値をおく。
    契約交渉に価値があることを認めながらも,顧客の競争力と満足度の向上に,より価値をおく。
    プロセスやツールに価値があることを認めながらも,実用的なプラクティスに,より価値をおく。
    包括的なドキュメントに価値があることを認めながらも,動くソフトウェアに,より価値をおく。

    解答:エ

    <解説>

    開発技術分野の問題。“アジャイルソフトウェア開発宣言”で述べている価値について問われている。アジャイルソフトウェア開発宣言では,次の4つの基本的な価値を宣言している。

  • プロセスやツールよりも個人と対話を
  • 包括的なドキュメントよりも動くソフトウェアを
  • 契約交渉よりも顧客との協調を
  • 計画に従うことよりも変化への対応を
    × 「アジャイルソフトウェア開発宣言」の4つの価値のうち、「計画に従うことよりも変化への対応」に該当する。
    計画に従うことよりも変化への対応を求めている
    × 「アジャイルソフトウェア開発宣言」の4つの価値のうち、「契約交渉よりも顧客との協調」に該当する。
    顧客との協調を求めている
    × 「アジャイルソフトウェア開発宣言」の4つの価値のうち、「プロセスとツールよりも個人と対話」に該当する。
    個人との対話を求めている
    「アジャイルソフトウェア開発宣言」の4つの価値のうち、「包括的なドキュメントよりも動くソフトウェア」に完全に合致している。 正しい。

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    問題18

    JIS Q 20000-1:2020(サービスマネジメントシステム要求事項)が規定しているものはどれか。

    サービスの計画,運用,維持,改善を支援する製品又はツールの仕様に関する要求事項
    サービスマネジメントシステムを確立し,実施し,維持し,継続的に改善するための組織に対する要求事項
    サービスマネジメントシステムを適用する組織の形態若しくは規模,又は提供するサービスの性質に応じた要求事項
    組織が使用しているサービスマネジメントの用語を,当該規格で使用している用語に置き換えるための要求事項

    解答:イ

    <解説>

    JIS Q 20000-1:2020は、国際規格ISO/IEC 20000-1:2018を基にした日本産業規格であり、「サービスマネジメントシステム要求事項」を規定している。この規格は、組織が顧客にサービスを提供する上で、そのサービスマネジメントシステム(SMS)を効果的に確立し、実施し、維持し、継続的に改善するための要求事項を定めている。

    × JIS Q 20000-1は、サービスマネジメントシステムそのものの要求事項を規定するものであり、特定の製品やツールの仕様に関する要求事項を直接的に定めているわけではない。ツールの選定や活用はSMSの一部として行われるが、規格の直接の対象ではない。
    JIS Q 20000-1:2020が規定している内容に完全に合致している。本規格は、組織が顧客へのサービス提供において、効果的なサービスマネジメントシステムを構築し、運用し、改善するための具体的な要求事項を提示している。これにより、サービスの品質向上、効率的な運用、顧客満足度の向上が期待される。
    × JIS Q 20000-1は、組織の形態や規模、サービスの性質に関わらず適用可能な、汎用的なサービスマネジメントシステムの要求事項を定めている。特定の組織形態や規模、サービスの性質に応じた要求事項を個別に定めているわけではない。ただし、組織は自身の状況に合わせて規格の要求事項を解釈し、適用する必要がある。
    × JIS Q 20000-1は、サービスマネジメントの共通理解を促進するための用語の定義は含むが、組織が既に使用している用語を規格の用語に置き換えることを直接要求するものではない。あくまで規格内で使用される用語の意味を明確にすることが目的である。

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    問題19

    データの追加・変更・削除が,少ないながらも一定の頻度で行われるデータベースがある。このデータベースのフルバックアップを磁気テープに取得する時間間隔を今までの2倍にした。このとき,データベースのバックアップ又は復旧に関する記述のうち,適切なものはどれか。

    復旧時に行うログ情報反映の平均処理時間が約2倍になる。
    フルバックアップ取得1回当たりの磁気テープ使用量が約2倍になる。
    フルバックアップ取得1回当たりの磁気テープ使用量が約半分になる。
    フルバックアップ取得の平均処理時間が約2倍になる。

    解答:ア

    <解説>

    下記より正しい。
    1. フルバックアップを磁気テープに取得する時間間隔を今までの2倍にした。
    2. 前回のフルバックアップ後の更新情報を記録したジャーナル情報の量も2倍になる。
    3. ジャーナル情報からの復旧処理時間が平均して約2倍になる。
    × データベースの量が2倍になったわけではない。したがって、必要な磁気テープの量はあまり変わらない。
    × データベースの量が1/2になったわけではない。したがって、必要な磁気テープの量はあまり変わらない。
    × データベースの量が2倍になったわけではない。したがって、平均実行時間はあまり変わらない。

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    問題20

    システム開発における発注者と受注者であるベンダーとの契約方法のうち,実費償還契約はどれか。

    委託業務の進行中に発生するリスクはベンダーが負い,発注者は注文時に合意した価格を支払う。
    インフレ率や特定の製品の調達コストの変化に応じて,あらかじめ取り決められた契約金額を調整する。
    契約時に,目標とするコスト,利益,利益配分率,上限額を合意し,目標とするコストと実際に発生したコストの差異に基づいて利益を配分する。
    ベンダーの役務や技術に対する報酬に加え,委託業務の遂行に要した費用の全てをベンダーに支払う。

    解答:エ

    <解説>

    システム開発の契約形態には、大きく分けて「請負契約」と「実費償還契約(コストプラス契約とも呼ばれる)」がある。

  • 請負契約(固定価格契約・出来高払い契約など):成果物の完成責任を受注者(ベンダー)が負い、発注者はあらかじめ合意した契約金額を支払う方式。
  • 実費償還契約:発注者が業務遂行に要した実費(人件費・材料費など)をベンダーに支払い、加えて一定の報酬(フィー)を上乗せする方式。発注者がリスクを負う契約形態である。
  • この特徴を踏まえて選択肢を検討する。

    × 固定価格契約(請負契約) の説明である。 発注時に合意した金額を支払うため、発注者のリスクは少なく、ベンダー側がコスト超過のリスクを負う。実費償還契約の説明ではない。
    × 経済価格調整条項付き契約 の説明である。 物価変動などの外的要因に応じて契約金額を調整する方式であり、実費償還契約とは異なる。
    × インセンティブ契約(ターゲットコスト契約) の説明である。 コスト削減などの効率化を促すために発注者とベンダーで利益を分配する仕組みであり、実費償還契約ではない。
    実費償還契約(コストプラス契約) の説明である。 実際に発生した費用に加えて、一定のフィー(利益や手数料)が上乗せされる形態であり、発注者がリスクを多く負う。

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