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平成22年度春季解答
問題16
稼働率が 0.9 の装置を複数個接続したシステムのうち,2番目に稼働率が高いシステムはどれか。ここで,並列接続部分については,少なくともどちらか一方が稼働していればよいものとする。
解答:エ
<解説>
各選択肢の稼働率は、次のようになる。
ア | : | 0.9×0.9=0.81 |
イ | : | 1-(1-0.9)(1-0.9)=1-0.01=0.99 |
ウ | : | 1-(1-アの稼働率)(1-アの稼働率)=1-(1-0.81)(1-0.81)=1-0.19×0.19=0.9639 |
エ | : | (イの稼働率)×(イの稼働率)=0.99×0.99=0.9801 |
したがって稼働率の高いものからイ>エ>ウ>アの順になる。2番目に稼働率が高いシステムはエである。
問題17
あるオンラインリアルタイムシステムでは,20 件/秒の頻度でトランザクションが発生する。このトランザクションは CPU 処理と4回の磁気ディスク入出力処理を経て終了する。磁気ディスク装置の入出力処理時間は 40 ミリ秒/回であり,CPU 処理時間は十分に短いものとする。それぞれの磁気ディスク装置が均等にアクセスされるとしたとき,このトランザクション処理には最低何台の磁気ディスク装置が必要か。
ア | 3 |
イ | 4 |
ウ | 5 |
エ | 6 |
解答:イ
<解説>
- 20件/秒の頻度でトランザクションが発生するので,一つのトランザクション当たり50ミリ秒で処理を終える必要がある。
1件当たりのトランザクションの処理時間 = 1 ÷ 20 = 0.05 = 50ミリ秒 - 一つのトランザクションはCPU処理と4回の磁気ディスク入出力処理を経て終了する。磁気ディスク装置の入出力時間は1回当たり40ミリ秒である。
1件当たりのトランザクションの処理時間 = 40 × 4 = 160 = 160ミリ秒 - 一つのトランザクションを50ミリ秒で終わらすための磁気ディスク数を計算する。
磁気ディスク数 = 160 ÷ 50 = 3.2
問題18
エンジン制御,ハードディスク制御などの制御系ハードリアルタイムシステムでリアルタイム OS を活用する理由はどれか。
ア | ウイルス侵入の防御のためにメモリ保護機構が必要だから。 |
イ | 定められた時間内にイベントに対応した処理を完了させる機構が必要だから。 |
ウ | システム全体のスループットを向上させる機構が必要だから。 |
エ | 複数の独立したプログラムを並行して動かす機構が必要だから。 |
解答:イ
<解説>
リアルタイムシステムとは、複数の端末からの処理要求に対して即座に応答するシステムである。次の3つに分類される。
- ハードリアルタイムシステム
- システムに課せられたある処理がデッドライン内に終了しなかった時(デッドラインミス)、システム全体にとって致命的ダメージが生じる。
- ファームリアルタイムシステム
- デッドラインミスが起こった時、システム全体に致命的なダメージを与えることはないが、その処理自体の価値は即座に0となる。
- ソフトリアルタイムシステム
- デッドラインミスが起こっても、システム全体に致命的なダメージを与えることはなく、その処理自体の価値も、終了時間などにより徐々に落ちていく。
応答が遅れると大きな損害や危害が及ぶハードリアルタイムシステムでは、定められた時間内にイベントに対応した処理を完了させる機構が必要である。
問題19
システム全体のスループットを高めるため,主記憶装置と低速の出力装置とのデータ転送を,高速の補助記憶装置を介して行う方式はどれか。
ア | スプーリング |
イ | スワッピング |
ウ | ブロッキング |
エ | ページング |
解答:ア
<解説>
ア | ○ | スプーリングとは、CPUや低速の入出力装置などで構成されるシステムの処理効率の向上を図るために,入出力データを一時的に磁気ディスク装置に蓄える処理方式である。 |
イ | × | スワッピングは、主記憶の不足を補うために、主記憶オン内容を一時的にハードディスクに書き出し利用可能な領域を作成することである。 |
ウ | × | ブロッキングは、CPUと周辺装置との間でデータの送受信が完了するまで他の処理を停止させる方式である。 |
エ | × | ページングは、メモリ領域をページと呼ばれる一定の大きさの領域に分割し、物理的なアドレスとは別に仮想的なアドレスを割り当てて管理する方式である。 |
問題20
仮想記憶を用いたコンピュータでのアプリケーション利用に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア | アプリケーションには,仮想記憶を利用するためのモジュールを組み込んでおく必要がある。 |
イ | 仮想記憶は,磁気ディスクにインストールされたアプリケーションだけが利用できる。 |
ウ | 仮想記憶を使用していても主記憶が少ないと,アプリケーション利用時にページフォールトが多発してシステムのスループットは低下する。 |
エ | 仮想記憶を利用するためには,個々のアプリケーションで仮想記憶を使用するという設定が必要である。 |
解答:ウ
<解説>
ア | × | 仮想記憶はOSが管理するので、モジュールを組み込む必要はない。 |
イ | × | 仮想記憶は、磁気ディスクに限定されない。 |
ウ | ○ | 主記憶容量が少ないとページフォールトが発生し、ページングが頻発するためスループットが低下する。 |
エ | × | 仮想記憶はOSが管理するので、個々のアプリケーションで設定は不要である。 |
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