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平成23年度秋季解答
問題11
アンゾフの成長ベクトルにおいて、Bの戦略を表すものはどれか。
ア | 市場開発戦略 |
イ | 市場浸透戦略 |
ウ | 製品開発戦略 |
エ | 多角化戦略 |
解答:ウ
<解説>
アンゾフの成長マトリクスとは、製品と市場を軸にした2次元の表を作り、成長戦略を「市場浸透」「製品開発」「市場開拓」「多角化」の4つに分類する。
- 市場浸透戦略
- 現在の市場で、現在取り扱っている製品の販売を伸ばす成長戦略。例えば、既存顧客に広告や値引きなどを通じて、既存商品をより多く買ってもらえるようにする方法である。
- 市場開拓戦略
- 新しく顧客を開拓して、既存製品の販売を伸ばす成長戦略。例えば、国内向け商品を海外にも販売するという方法である。
- 製品開発戦略
- 既存の顧客層に向けて、新製品を開発して販売する成長戦略。製品のモデルチェンジやバージョンアップなどが該当する。
- 多角化戦略
- 新しい製品分野・市場分野に乗り出し、新しい事業を展開することで成長する戦略。例えば、航空会社が音楽流通ビジネスを展開するような方法である。
したがって、ウが正解である。
問題12
商品ブランド戦略の一つであるラインエクステンションを説明したものはどれか。
ア | 売上の伸びが鈍くなってきたときなどに、デザインや容量を変更した商品を導入し、ブランド力を高める戦略 |
イ | 関連分野において知名度の高い他社ブランドと提携し、自社商品のブランド力を高める戦略 |
ウ | 実績のある商品と同じカテゴリにシリーズ商品を導入し、同一ブランド名での品ぞろえを豊富にする戦略 |
エ | 消費者の間に浸透し、市場での地位を確立しているブランド名で、現行商品とは異なるカテゴリに参入する戦略 |
解答:ウ
<解説>
ラインエクステンションとは、製品ラインの拡張という意味であり、すでに確立している製品のブランド・ラインに別の種類の製品を追加し品ぞろえを豊富にして売上やマーケットシュアを高める戦略である。
ア | × | プロダクトエクステンションの説明である。 |
イ | × | ブランド提携戦略である。 |
ウ | ○ | ラインエクステンションの説明である。 |
エ | × | ブランドエクステンションの説明である。 |
問題13
売り手側でのマーケティング要素4Pは、買い手側での要素4Cに対応するという考え方がある。 4Pの一つであるプロモーションに対応する4Cの構成要素はどれか。
ア | 顧客価値(Customer Value) |
イ | 顧客コスト(Customer Cost) |
ウ | コミュニケーション(Communication) |
エ | 利便性(Convenience) |
解答:ウ
<解説>
マーケティング要素4Pと買い手側での要素4Cについてまとめると次のようになる。
マーケティング要素4P | 買い手側での要素4C |
---|---|
製品内容(特徴):Product | 顧客価値(Customer Value) |
価格:Price | 顧客にとっての経費(Cost) |
流通:Place | 顧客利便性(Convenience) |
広告・宣伝:Promotion | 顧客とのコミュニケーション(Communication) |
したがって、「広告・宣伝:Promotion 」に対応するのは「顧客とのコミュニケーション(Communication)」である。
問題14
ある顧客層の今後3年間を通しての、年間顧客維持率が40%、1人当たり年平均売上高が200万円、売上高コスト比率が50%と想定される場合、今後3年間のLTV(顧客1人当たりの生涯価値)は何万円か。 ここで、割引率は考慮しなくてもよいものとする。
ア | 62.4 |
イ | 156 |
ウ | 210 |
エ | 312 |
解答:イ
<解説>
LTVとは、一人の顧客が取引期間を通じて企業にもたらす利益(価値)のこと。
プロダクト中心の従来のマーケーティングから顧客重視のマーケティングにシフトしてゆく中で注目されてきた概念のひとつ。激しい市場競争の中において、自社の顧客との良好な関係を構築し企業利益を向上させようとするCRMにおける重要な指標である。
LTV を算出する式は,LTV = 年間売上高 × 利益率 × 継続年数 である。
この式を本問にあてはめると, 次のようになる。
- 年間売上高 = 200 万円
- 利益率 = 100 %- 50 % = 50 % (売上高コスト比率より)
- 継続年数 =
1 年目 … 100 %
2 年目 … 40 % (年間顧客維持率より)
3 年目 … 16 % (40 %× 40 %より)
合計 156 % → 1.56 年
LTV = 200 万円 × 50 % × 1.56 = 156 万円 になる。
問題15
ファイブフォース分析において、企業の競争力に影響を与える五つの要因として、新規参入者の脅威、バイヤの交渉力、競争業者間の敵対関係、代替製品の脅威と、もう一つはどれか。
ア | サプライヤの交渉力 |
イ | 自社製品の品質 |
ウ | 消費者の購買力 |
エ | 政府の規制 |
解答:ア
<解説>
マイケル・ E ・ポーターは,自著『競争の戦略』の中で業界内の競争に影響 を与える 5 つの要因を指摘し,“競争のルール”の 5 つの力として,以下のよう に分類した。
- (1) 新規参入者の脅威
- 新規参入の脅威は,参入障壁の高さによって決まる。障壁が高い場合,業界内の競争は生じにくいが,障壁が低い場合は競争が激化する。
- (2) 競争業者間の敵対関係
- 同業者が多いか同規模の会社が多く存在している業界は,競争が激化する。
- (3) 代替製品の脅威
- 代替製品またはサービスがあれば競争は激化する。
- (4) バイヤの交渉力
- 独占的な製品であればバイヤ(直接顧客もしくは最終顧客)の交渉力は弱 まるが,どこでも販売されているありふれた製品であれば強まる。
- (5) サプライヤの交渉力
- サプライヤ(供給業者)が少数の企業からなり,市場が独占に近い状態で あればサプライヤの交渉力は強くなる。 ファイブフォース分析は,5 つの力の個々または総合的な強さを分析して, 業界における競争関係の特性を決める決定的な構造特徴を明らかにする。
したがって、アが正解である。
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