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平成28年度秋季解答
問題66
“情報システム・モデル取引・契約書”によれば、要件定義工程を実施する際に、ユーザ企業がベンダと締結する契約の形態について適切なものはどれか。
ア | 構築するシステムがどのような機能となるか明確になっていないので準委任契約にした。 |
イ | 仕様の決定権はユーザ側ではなくベンダ側にあるので準委任契約にした。 |
ウ | ベンダに委託する作業の成果物が具体的に想定できないので請負契約にした。 |
エ | ユーザ内のステークホルダとの調整を行う責任が曖昧にならないように請負契約にした。 |
解答:ア
<解説>
情報システム・モデル取引・契約書とは,経済産業省の「情報システムの信頼性向上のための取引慣行・契約に関する研究会」が,情報システムに係る取引の可視化の向上などを目的として公表している,情報システムの取引に関する契約書などのモデルのことである。
ア | ○ | 要件定義の段階では,システムに必要な機能が明確になっていない場合が多い。 したがって、外部設計又はそれ以降の工程で機能が追加されることがある。 要件定義の工程を請負契約とすると,ベンダの責任ではないのに作業が遅れて,成果物を期限までに納品できなくなるので,準委任契約が適切である。 |
イ | × | 仕様の決定権はユーザ側にある。 |
ウ | × | ユーザの業務要件が具体的に確定せず,成果物が特定できない企画段階では準委任契約が適切である。 |
エ | × | システム化計画でシステム化計画書を作成し,ステークホルダの合意を得ます。 システム化計画段階ではは準委任契約が適切である。 |
問題67
ベンチマーキングを説明したものはどれか。
ア | 企業内に散在している知識を共有化し、全体の問題解決力を高める経営を行う。 |
イ | 迅速な意思決定のために、組織の階層をできるだけ少なくしたフラット型の組織構造によって経営を行う。 |
ウ | 優れた業績を上げている企業との比較分析から、自社の経営革新を行う。 |
エ | 他社にはまねのできない、企業独自のノウハウや技術などの強みを核とした経営を行う。 |
解答:ウ
<解説>
ベンチマーキングとは、他社の優良事例(ベストプラクティス)を分析し、学び、取り入れる手法である。
他社の製品、サービス、プロセス、慣行を継続的に測定し把握する必要がある。
ア | × | ナレッジマネジメントの説明である。 |
イ | × | フラット型組織トの説明である。 |
ウ | ○ | ベンチマーキングの説明である。 |
エ | × | コアコンピタンス経営の説明である。 |
問題68
アンゾフが提唱する成長マトリクスを説明したものはどれか。
ア | 自社の強みと弱み、市場における機会と脅威を、分類ごとに列挙して、事業戦略における企業の環境分析を行う。 |
イ | 製品と市場の視点から、事業拡大の方向性を市場浸透・製品開発・市場開拓・多角化に分けて、戦略を検討する。 |
ウ | 製品の市場占有率と市場成長率から、企業がそれぞれの事業に対する経営資源の最適配分を意思決定する。 |
エ | 製品の導入期・成長期・成熟期・表退期の各段階に応じて、製品の改良、新品種の追加、製品廃棄などを計画する。 |
解答:イ
<解説>
アンゾフの成長マトリクスとは、製品と市場を軸にした2次元の表を作り、成長戦略を「市場浸透」「製品開発」「市場開拓」「多角化」の4つに分類する。
- 市場浸透戦略
- 現在の市場で、現在取り扱っている製品の販売を伸ばす成長戦略。例えば、既存顧客に広告や値引きなどを通じて、既存商品をより多く買ってもらえるようにする方法である。
- 市場開拓戦略
- 新しく顧客を開拓して、既存製品の販売を伸ばす成長戦略。例えば、国内向け商品を海外にも販売するという方法である。
- 製品開発戦略
- 既存の顧客層に向けて、新製品を開発して販売する成長戦略。製品のモデルチェンジやバージョンアップなどが該当する。
- 多角化戦略
- 新しい製品分野・市場分野に乗り出し、新しい事業を展開することで成長する戦略。例えば、航空会社が音楽流通ビジネスを展開するような方法である。
ア | × | SWOT分析の説明である。 |
イ | ○ | アンゾフの成長マトリクスの説明である。 |
ウ | × | プロダクトポートフォリオマネジメント(PPM)の説明である。 |
エ | × | プロダクトライフサイクル(製品ライフサイクル)の説明である。 |
問題69
RFM分析において、特にR(Recency)とF(Frequency)をそれぞれ三つに分類した。 表の各セルに対する考察のうち、適切なものはどれか。
ア | AAに分類される顧客には、2度目以降の再購入を促進する特典提示や購入のお礼状が重要である。 |
イ | ACに分類される顧客には、コストを掛けてはならないので、マーケティング費用削減が重要である。 |
ウ | CAに分類される顧客は、離反しているおそれがあるので、離反していないかの調査が重要である。 |
エ | CCに分類される顧客に対しては、個人的なおもてなしを重視し、季節の挨拶などが重要である。 |
解答:ウ
<解説>
RFM分析とは、データベースを使ったターゲット・マーケティングで、顧客の過去の購買履歴を分析する手法。
3つの指標から有料顧客の特定などを行なう。
- R(最新購買日:Recency):もっとも最近購入された年月日
- F(累計購買回数:Frequency):過去1年などの一定期間に何回購入されたかの購入回数
- M(累計購買金額:Monetary):一定期間での購買金額
ア | × | AAに分類される顧客は、購買頻度が高く最終購買日も近い顧客である。 有料顧客なので個人的なおもてなしを重視し、季節の挨拶などが重要である。 |
イ | × | ACに分類される顧客は、購買回数は低いが最終購買日が近い顧客である。 これから確保したい顧客なので、2度目以降の再購入を促進する特典提示や購入のお礼状が重要である。 |
ウ | ○ | CAに分類される顧客は、購買頻度が高かったが、最終購買日は遠い顧客である。 離反している(他社の製品に乗り換えている)おそれがあるので、離反していないか調査が重要である。 |
エ | × | CCに分類される顧客は、購買頻度が低く、最終購買日は遠い顧客である。 今後期待がもてない顧客なので、コストを掛けてはならないので、マーケティング費用の削減が重要である。 |
問題70
技術経営における課題のうち、“死の谷”を説明したものはどれか。
ア | コモディティ化が進んでいる分野で製品を開発しても、他社との差別化ができず、価値利益化ができない。 |
イ | 製品が市場に浸透していく過程において、実用性を重んじる顧客が受け入れず、より大きな市場を形成できない。 |
ウ | 先進的な製品開発に成功しても、事業化するためには更なる困難が立ちはだかっている。 |
エ | プロジェクトのマネジメントが適切に行われないために、研究開発の現場に過大な負担を強いて、プロジェクトのメンバが過酷な状態になり、失敗に向かってしまう。 |
解答:ウ
<解説>
死の谷(デスバレー:valley of death)とは,研究開発で創出された成果が資金不足やさまざまな壁のために製品化や事業化に結びつかず,研究開発が死んでしまう(谷に落ちる)状況を意味する。また,研究開発と事業化に至る間にある難関・障害などを指す意味でも使われる。
ア | × | 魔の川の説明である。 魔の川とは、研究開発が基礎研究から始まり,製品化を目指す応用研究(開発)に進めるかどうかの難関・障害のことである。 これを超えられないと,単に研究開発で終わってしまう。 |
イ | × | ダーウィンの海の説明である。 ダーウィンの海とは、死の谷を越えて事業化(製品化)に至ったものの顧客に受け入られない,他企業との競合などによって産業化に至らない難関・障害のことである。 |
ウ | ○ | 死の谷の説明である。 |
エ | × | デスマーチの説明である。 |
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