- トップページ
- 高度共通 午前1
- 平成21年度秋季問題
- 平成21年度秋季解答・解説
平成21年度秋季解答
問題16
JIS X 0129-1で規定されたソフトウェア製品の品質副特性の説明のうち、信頼性に分類されるものはどれか。
ア | 故障時に、指定された達成水準を再確立し、直接に影響を受けたデータを回復するソフトウェア製品の能力 |
イ | ソフトウェアにある欠陥の診断又は故障原因の追及、及びソフトウェアの修正箇所の識別を行うためのソフトウェア製品の能力 |
ウ | 一つ以上の指定されたシステムと相互作用するソフトウェア製品の能力 |
エ | 利用者がソフトウェアの運用及び運用管理を行うことのできるソフトウェア製品の能力 |
解答:ア
<解説>
JIS X 0129-1(ソフトウェア製品の品質)では、ソフトウェア品質特性を次の6つの特性に分類し、それらを更に副特性に細分化している。
特性 | 副特性 |
---|---|
機能性 |
|
信頼性 |
|
使用性 |
|
効率性 |
|
保守性 |
|
移植性 |
|
ア | ○ | 信頼性の副特性である回復に関する説明である。 |
イ | × | 保守性の副特性である解析性に関する説明である。 |
ウ | × | 機能性の副特性である相互運用性に関する説明である。 |
エ | × | 使用性の副特性である運用性に関する説明である。 |
問題17
取得者(発注者)と供給者(受注者)の二者間取引を明確化するためのものであり、業務分析、業務設計、ソフトウェアを中心としたシステムの企画、要件定義、開発、運用、保守及びそれらにかかわる諸活動を対象としており、国際規格に適合しているものはどれか。
ア | CMMI |
イ | PMBOK |
ウ | 共通フレーム |
エ | ソフトウェア保守規格 |
解答:ウ
<解説>
ア | × | CMMI(Capability Maturity Model Integration:能力成熟度モデル統合版)とは、ソフトウェア開発を中心としたプロセスの成熟度を評価するための指標のことである |
イ | × | PMBOK(プロジェクトマネジメント知識体系ガイド)は、プロジェクトマネジメントのための標準的なフレームワークである。 |
ウ | ○ | 共通フレームワーク(SLCP-JCF2007)は、は、ソフトウェアの構想・設計から開発、導入、運用、保守、破棄に到るまでの工程全体のこと。また、それらの工程について個々の作業内容、用語の意味などを標準化した枠組みのことである。 |
エ | × | ソフトウェア保守規格(JISX0161:ソフトウェア技術-ソフトウェアライフサイクルプロセス-保守)はソフトウェア保守作業に関する規格のことである。 |
問題18
期間10日のプロジェクトを5日目の終了時にアーンドバリュー分析したところ、表のとおりであった。現在のコスト効率が今後も続く場合、完成時総コスト見積もり(EAC)は何万円か。
ア | 110 |
イ | 120 |
ウ | 135 |
エ | 150 |
解答:エ
<解説>
EVM(Earned Value Management:アーンドバリュー分析)とは、プロジェクトマネジメントにおいて進捗状況の把握・管理を行う手法である。
EVMでは、コスト,スケジュール(進捗)の両面からプロジェクトの状況とパフォーマンスを数値化することができる。
アーンド・バリュー・マネジメントの各種用語の説明を下記に記す。
- BAC(Budget at Completion:完成時総予算 )
- プロジェクトの完了時点における作業の予算コストである。
- EAC (Estimate At Completion:完成時予測総コスト)
- プロジェクトの完了時点における作業の予測コストである。
- EV(Earned Value:達成額)
- 現時点までに完成した作業の予算コストである。
- AC(Actual Cost:実コスト)
- 現時点までに完了した作業の実コストである。
- CV(Cost Variance:コスト差異)
- コストに関する予実差である。
- CPI(Cost Performance Index:コスト効率指数)
- コスト効率の尺度である。
- CPI=EV÷AC
EACの算出には、次の方法がある。
現在の差異 (コスト効率) が将来も続くと判断した場合、基準コスト (BAC) から現時点で完成している価値 (EV) を引いて、今後生み出す価値を算出し、それをコスト効率指標 (CPI) で割ることで、今後の作業を完了するために必要な予算 (ETC) を算出し、それに実績コスト(AC) でを加えて完成時予測総コスト (EAC) を算出する。
EAC | = | AC+ (BAC - EV) ÷ CPI | |
したがって、 | |||
EAC | = | 60+(100-40)÷(40÷60)≒150 | |
となる。 |
よってエが正解である。
問題19
ソフトウェアの開発規模と開発工数の関係を表すグラフはどれか。
解答:エ
<解説>
一般的に、開発規模が大きくなると、入出力画面数や帳票数等が増えて、機能の複雑化の度合いが大きくなる。
したがって、開発規模が大きくなるほど、開発工数も連鎖的に増加すると考えられる。
よってエが正解である。
問題20
システム移行方式のうち、パイロット移行方式について説明したものはどれか。
ア | 機能的に閉じたサブシステム単位に、短期間で順次移行していくので、運用部門の負荷が少なく、問題が発生しても当該サブシステム内に抑えることができる。 |
イ | 限定した部門で新システムを導入・観察した後にほかの全部門を移行するので、移行に関する問題が発生しても影響範囲を局所化できる。 |
ウ | 新・旧両システム分のリソースを用意し、並行稼動されるので、新システムで問題が発生しても業務への影響を最小にできる。 |
エ | ほかの移行方式に比べると移行期間は短くできるが、事前に全部門との間で詳細な計画を立てるとともに、新システムに高い信頼性が要求される。 |
解答:イ
<解説>
代表的な移行方式には、一斉移行方式,段階的移行方式,平行運用方式がある。
移行方式 内容 一斉移行方式 一挙に新システムの切り替えを行う方式。 段階的移行方式 業務単位,地域単位,サブシステム単位などで順次に移行していく方式。 平行運用方式 新旧両方のシステムを平行稼働させ問題なければ移行する方式。
パイロット移行方式は、段階的移行方式の一つである。一部の限定した部門でシステムを導入し観察しながら、問題ないと判断したうえで、全部門の移行を行う方式のことである。
ア | × | 段階的移行方式に関する説明である。 |
イ | ○ | パイロット移行方式に関する説明である。 |
ウ | × | 平行運用方式に関する説明である。 |
エ | × | 一斉移行方式に関する説明である。 |
お問い合わせ