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平成28年度春季解答
問題46
ソフトウェアの品質特性のうちの保守性に影響するものはどれか。
ア | ソフトウェアが、特定の作業に特定の利用条件でどのように利用できるかを利用者が理解しやすいかどうか。 |
イ | ソフトウェアにある欠陥の診断又は故障原因の追究、及びソフトウェアの修正箇所を識別しやすいかどうか。 |
ウ | ソフトウェアに潜在する障害の結果として生じる故障が発生しやすいかどうか。 |
エ | ソフトウェアの機能を実行する際に、資源の量及び資源の種類を適切に使用するかどうか。 |
解答:イ
<解説>
ソフトウェアの品質特性モデルとは、ソフトウェアの品質の指標を分類して体系的にまとめた規格で、ソフトウェアの品質に対する評価に利用できる。
- 機能性
- ソフトウェアがユーザからの機能的な要求(明示的機能と暗示的機能)を満たす度合い。
ユーザ目的に合った正確な動作を満たすか。外部IFや規格、セキュリティ基準を満たすか。 - 信頼性
- 様々な使用条件のもとで、ソフトウェアの機能が正常に稼働し続ける度合い。
必要な期間、正常に動作を続け、イレギュラーに対する耐久力を持ち、 障害時に速やかに回復できるか。 - 使用性
- 分かりやすく使いやすいソフトウェアであるかどうかの度合い。
簡単に理解でき使いこなすことができるか。再び使用したくなるか。 インストール作業や運用時が容易か。 - 効率性
- アプリケーションのレスポンスや、ハードウェア資源(メモリ/CPU使用率/ハードディスク等) に対して適切な性能を提供する度合い。
- 保守性
- ソフトウェアに対する機能追加、改修、環境変化等に対する対応の容易性の度合い。
障害等の問題の把握、切り分けなどの解析のしやすさ、変更作業の容易さ、保守作業が必要な頻度の少なさ、保守によるテスト作業の行いやすさ等。 - 移植性
- ソフトウェアを ある環境から他の環境に移すための容易性の度合い。
OSやハードウェア等の環境変更に対してスムーズに移植できるか、どの程度の作業量にて移植できるか。
ア | × | 使用性に影響する。 |
イ | ○ | 保守性に影響する。 |
ウ | × | 信頼性に影響する。 |
エ | × | 効率性に影響する。 |
問題47
モジュールの結合度が最も低い、データの受渡し方法はどれか。
ア | 単一のデータ項目を大域的データで受け渡す。 |
イ | 単一のデータ項目を引数で受け渡す。 |
ウ | データ構造を大域的データで受け渡す。 |
エ | データ構造を引数で受け渡す。 |
解答:イ
<解説>
モジュールの結合度とは、モジュールの独立性を評価する尺度の一つ。モジュール同士がどのような関係で他のモジュールを利用するかによって、6つの結合方法に分類される。内部結合が最も結合度が高く,順に低くなっていく。
結合度 | 名称 | 内容 |
---|---|---|
強い ↑ ↓ 弱い |
内部結合 | 他モジュールの内容を直接参照 |
共通結合 | 複数モジュールが共通領域を使用 | |
外部結合 | 複数モジュールが共通データを使用 | |
制御結合 | 他モジュールのパラメータを渡す | |
スタンプ結合 | データ構造を決めるパラメータを渡す | |
データ結合 | データパラメータのみの受け渡し |
ア | × | 外部結合の受渡し方法である。 |
イ | ○ | 共通結合の受渡し方法である。 |
ウ | × | データ結合の受渡し方法である。 |
エ | × | スタンプ結合の受渡し方法である。 |
問題48
プロセス制御などの事象駆動(イベントドリブン)による処理の仕様を表現する方法として、適切なものはどれか。
ア | DFD |
イ | E-R図 |
ウ | クラス図 |
エ | 状態遷移図 |
解答:エ
<解説>
事象駆動(イベントドリブン)とは、ユーザや他のプログラムが実行した操作(イベント)に対応して処理を行う、プログラムの実行形式である。
発生した事象に応じたシステムの状態を表現するのは、(エ)状態遷移図である。
ア | × | DFD(Data Flow Diagram)は、企業のビジネスプロセスを,データフロー,プロセス,ファイル,データ源泉/データ吸収の四つの基本要素で抽象化して表現するための技法である。 |
イ | × | E-R図は対象とする世界を,実体(エンティティ)と関連(リレーションシップ)の二つの概念で表現する図である。 |
ウ | × | クラス図は、クラスの構造とクラス間の静的な関係を表現する図である。 |
エ | ○ | 状態遷移図は、状態が遷移していく様子を表現する図である。 |
問題49
作業成果物の作成者以外の参加者がモデレータとして主導すること、及び公式な記録、分析を行うことが特徴のレビュー技法はどれか。
ア | インスペクション |
イ | ウォークスルー |
ウ | パスアラウンド |
エ | ペアプログラミング |
解答:ア
<解説>
ア | ○ | インスペクションとは、ソフトウェア開発の各作業工程で、設計仕様書やコーディングしたプログラムのロジックを第三者が検証し、誤りや問題点を検出することである。 開発者本人が気づきづらい問題点を洗い出すことができるため、ソフトウェアの品質向上につながる。 |
イ | × | ウォークスルーとは、プログラムの仕様やプログラムそのものに誤りがないかどうかを、プログラム全体にわたってチェックすることである。 |
ウ | × | パスアラウンドとは、成果物を他者が精査・講評するレビューの手法の一つで、成果物を評価者に電子メールや回覧板などを用いて複数のレビュアーに回覧して誤りや問題点を検出する方式である。 |
エ | × | ペアプログラミングは、2人のプログラマがソフトウェアのコーディングとコーディングのチェックを行う手法である。 |
問題50
エクストリームプログラミング(XP:eXtreme Programming)における“テスト駆動開発”の説明はどれか。
ア | 最初のテストでバグを抽出すること |
イ | テストケースを順次改善すること |
ウ | テストでのカバレージを優先すること |
エ | プログラムを書く前にテストケースを作成すること |
解答:エ
<解説>
XP(Extreme Programming)は、設計書よりもコーディングとテストを重視したソフトウェア開発プロセス(開発工程)である。開発者はいくつかのプラクテイス(規則)に沿って開発を進める。
テスト駆動開発とは、最初にテストを書き(これをテストファーストと言う)、そのテストが動作する必要最低限な実装をとりあえず行った後、コードを洗練させる、という短い工程を繰り返すスタイルである。エクストリーム・プログラミングにおいて強く推奨されている。
ア | × | テスト技法ではなく開発手法である。 |
イ | × | テストケースの見直しは行うが、その改善を繰り返すことを主眼を置いていない。 |
ウ | × | テストでのカバレージ高めることに主眼を置いていない。 |
エ | ○ | “テスト駆動開発”の説明である。 |
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