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平成29年度春季解答
問題51
期間10日のプロジェクトを5日目の終了時にアーンドバリュー分析したところ、表のとおりであった。 現在のコスト効率が今後も続く場合、完成時総コスト見積り(EAC)は何万円か。
ア | 110 |
イ | 120 |
ウ | 135 |
エ | 150 |
解答:エ
<解説>
EVM(Earned Value Management:アーンドバリュー分析)とは、プロジェクトマネジメントにおいて進捗状況の把握・管理を行う手法である。
EVMでは、コスト,スケジュール(進捗)の両面からプロジェクトの状況とパフォーマンスを数値化することができる。
アーンド・バリュー・マネジメントの各種用語の説明を下記に記す。
- BAC(Budget at Completion:完成時総予算 )
- プロジェクトの完了時点における作業の予算コストである。
- EAC (Estimate At Completion:完成時予測総コスト)
- プロジェクトの完了時点における作業の予測コストである。
- EV(Earned Value:達成額)
- 現時点までに完成した作業の予算コストである。
- AC(Actual Cost:実コスト)
- 現時点までに完了した作業の実コストである。
- CV(Cost Variance:コスト差異)
- コストに関する予実差である。
- CPI(Cost Performance Index:コスト効率指数)
- コスト効率の尺度である。
- CPI=EV÷AC
EACの算出には、次の方法がある。
現在の差異 (コスト効率) が将来も続くと判断した場合、基準コスト (BAC) から現時点で完成している価値 (EV) を引いて、今後生み出す価値を算出し、それをコスト効率指標 (CPI) で割ることで、今後の作業を完了するために必要な予算 (ETC) を算出し、それに実績コスト(AC) でを加えて完成時予測総コスト (EAC) を算出する。
EAC | = | AC+ (BAC - EV) ÷ CPI | |
したがって、 | |||
EAC | = | 60+(100-40)÷(40÷60)≒150 | |
となる。 |
よってエが正解である。
問題52
図のアローダイアグラムから読み取れることのうち、適切なものはどれか。 ここで、プロジェクトの開始日は0日目とする。
ア | 作業Cを最も早く開始できるのは5日目である。 |
イ | 作業Dはクリティカルパス上の作業である。 |
ウ | 作業Eの余裕日数は30日である。 |
エ | 作業Fを最も遅く開始できるのは10日目である。 |
解答:ウ
<解説>
アローダイアグラムに最速結合点時刻と最遅結合点時刻を記述すると次のようになる。
ア | × | 結合点3の最速結合点時刻は10である。したがって、最も早く開始できるのは10日目である。 |
イ | × | クリティカルパスは、赤い線上のA(5)→C(20)→G(20)→H(10)である。したがって、作業Dはクリティカルパス上にない。 |
ウ | ○ | 結合点5の最速結合点時刻は20、最遅結合点時刻は50である。したがって、作業Eの余裕日数は30日である。 |
エ | × | 結合点5の最遅結合点時刻は50である。したがって作業Fには40日(50-10)の余裕がある。 |
問題53
PMBOKガイド第5版によれば、定量的リスク分析で実施することはどれか。
ア | 特定したリスクがプロジェクト目標全体に与える影響を数量的に分析する。 |
イ | 特手したリスクの発生確率や影響度を評価してリスクに優先順位をつける。 |
ウ | 特定したリスクへの対応計画を策定する。 |
エ | プロジェクトに影響を与える可能性のあるリスクを洗い出す。 |
解答:ア
<解説>
- リスクマネジメント計画
- スコープ・ベースラインから成果物を生み出すための活動に落とし込む
- リスク特定
- リスクを洗い出し「リスク登録簿」に記載する
- 定性的リスク分析
- 発生確率と影響より、リスク管理の優先度を決める
- 定量的リスク分析
- リスク顕在化時の影響を金額など数値化する
- リスク対応計画
- それぞれのリスクに対して、「回避」「転嫁」「軽減」「受容」の戦略で対応策を立てる
- リスクコントロール
- リスク事象が発生していないか、新たなリスクが発生していないか監視し、変化があった場合は対応策を検討する
ア | ○ | 定量的リスク分析での実施事項である。 |
イ | × | 定性的リスク分析での実施事項である。 |
ウ | × | リスク対応計画である。 |
エ | × | リスク特定での実施事項である。 |
問題54
PMBOKガイド第5版における、マイナスのリスクに対する戦略として用いられる“リスク転嫁”の説明はどれか。
ア | リスクの影響が及ばない代替案を実行する。 |
イ | リスクの影響や責任の一部又は全部を第三者に移す。 |
ウ | リスクの発生確率や影響度を許容可能なレベルに抑えるための対応策を実行する。 |
エ | リスクの具体的な対応策は事前に設定せず、リスクが発生した時点で対処するために費用や時間の余裕をもっておく。 |
解答:イ
<解説>
PMBOKでは、損失が発生する事象だけでなく、自社に利益をもたらす事象のリスクとして定義している。
損失が発生する事象をマイナスのリスク、利益をもたらす事象をプラスのリスクという。
PMBOKにおいて、マイナスのリスク対策には、次の4つの方法がある。
- 回避
- 脅威を取り除いてリスクが発生しないようにすることである。
- 軽減
- 発生確率または影響度を下げることである。
- 転嫁
- 脅威を第三者に移転することである。
- 受容
- リスクを受け入れることである。
ア | × | 回避の説明である。 |
イ | ○ | 転嫁の説明である。 |
ウ | × | 軽減の説明である。 |
エ | × | 受容の説明である。 |
問題55
ITIL 2011 editionの可用性管理プロセスにおいて、ITサービスの可用性と信頼性の管理に関わるKPIとして用いるものはどれか。
ア | サービスの中断回数及びそのインパクトの削減率 |
イ | 災害を想定した復旧テストの回数 |
ウ | 処理能力不足に起因するインシデントの数の削減率 |
エ | 目標を達成できなかったSLAの項目数 |
解答:ア
<解説>
KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)とは、企業目標やビジネス戦略を実現するために設定した具体的な業務プロセスをモニタリングするために設定される指標のうち、特に重要なものを指す。
ア | ○ | 可用性管理のKPIとして用いる |
イ | × | ITサービス継続性管理のKPIとして用いる |
ウ | × | キャパシティ管理のKPIとして用いる |
エ | × | サービスレベル管理のKPIとして用いる |
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