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平成29年度春季解答
問題61
情報戦略の投資効果を評価するとき、利益額を分子に、投資額を分母にして算出するものはどれか。
ア | EVA |
イ | IRR |
ウ | NPV |
エ | ROI |
解答:エ
<解説>
ア | × | EVA(Economic Value Added:経済的付加価値)とは、企業が一定期間にどれだけの価値を創造したかをみる指標である。 |
イ | × | IRR(Internal Rate of Return:内部収益率)とは、投資によって得られると見込まれる利回りと、本来得るべき利回りを比較し、その大小により判断する手法のことである。 |
ウ | × | NPV(Net Present Value:正味現在価値)は、将来の収入または支出をある割引率で複利計算し、現在の価値に換算した収入から支出を差し引いた金額である。 |
エ | ○ | ROI(Return On Investment:投資利益率)は、投下した資本に対し、どれだけの利益が得られたかを示す指標である。 ROI=利益÷投資額×100で計算される。 |
問題62
事業目標達成のためのプログラムマネジメントの考え方として、適切なものはどれか。
ア | 活動全体を複数のプロジェクトの結合対と捉え、複数のプロジェクトの連携、統合、相互作用を通じて価値を高め、機能全体の戦略の実現を図る。 |
イ | 個々のプロジェクト管理を更に細分化することによって、プロジェクトに必要な技術や確保すべき経営資源の明確化を図る。 |
ウ | システムの開発に使用するプログラム言語や開発手法を早期に検討することによって、開発リスクを低減し、投資効果の最大化を図る。 |
エ | リスクを最小化するように支援する専門組織を設けることによって、組織全体のプロジェクトマネジメントの能力と品質の向上を図る。 |
解答:ア
<解説>
PMBOK(Project Management Body of Knowledge)では,プログラムとプログラムマネジメントを下記のように定義している。
プログラムとは、「プロジェクトを個々にマネジメントすることでは得られない成果価値とコントロールを実現するために、調和のとれた方法でマネジメントされる相互に関連するプロジェクトのグループである」と定義されています。
プログラムマネジメントとは、「プログラムの戦略目標と成果価値を達成するために、調和を保ちつつ一元的にプログラムをマネジメントすること」と定義されています。
プログラムマネジメントは、同時並行的に進められている相互に関連するプロジェクト群を管理するプロセスであり、プロジェクトマネジメントの上に位置する。
ア | ○ | 複数のプロジェクトを一つの結合体として、プロジェクト間をまとめていくのがプログラムマネジメントである。 |
イ | × | WBSなどを用いてプロジェクトを細分化する。 |
ウ | × | プログラムマネジメントは、プログラム言語や開発手法とは関係がない。 |
エ | × | PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)に関する説明である。 |
したがって、アが正解である。
問題63
IT投資に対する評価指標の設定に際し、バランススコアカードの手法を用いてKPIを設定する場合に、内部ビジネスの視点に立ったKPIの例はどれか。
ア | 売上営業利益率を前年比5%アップとする。 |
イ | 顧客クレーム件数を1か月あたり20件以内とする。 |
ウ | 新システムの利用者研修会の受講率を100%とする。 |
エ | 注文受付から製品出荷までの日数を3日短縮とする。 |
解答:エ
<解説>
KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)とは、企業目標やビジネス戦略を実現するために設定した具体的な業務プロセスをモニタリングするために設定される指標のうち、特に重要なものを指す。
また、 バランススコアカードとは、経営管理手法の一つで、企業の経営戦略から各部署や従業員の具体的な行動を決める方法のことである。企業のビジョンと戦略を4つの視点で分類し各視点ごとに目標,評価指標,具体的方法を設定する。
バランスト・スコアカードにおける4つの視点は次のものである。
- 財務の視点
- 株主や従業員などの利害関係者の期待にこたえるため、企業業績として財務的に成功するためにどのように行動すべきかの指標を設定する。
- 顧客の視点
- 企業のビジョンを達成するために、顧客に対してどのように行動すべきかの指標を設定する。
- 内部ビジネスプロセスの視点
- 財務的目標の達成や顧客満足度を向上させるために、優れた業務プロセスを構築するための指標を設定する。
- 学習と成長の視点
- 企業のビジョンを達成するために組織や個人として、どのように変化(改善)し能力向上を図るかの指標を設定する。
ア | × | 財務の視点である。 |
イ | × | 顧客の視点である。 |
ウ | × | 学習と成長の視点である。 |
エ | ○ | 内部ビジネスプロセスの視点である。 |
問題64
業務要件定義において、業務フローを記述する際に、処理の分岐や並行処理、処理の同期などを表現できる図はどれか。
ア | アクティビティ図 |
イ | クラス図 |
ウ | 状態遷移図 |
エ | ユースケース図 |
解答:ア
<解説>
ア | ○ | アクティビティ図は、流れ図に似ているUMLで処理の流れを表現する図である。流れ図と異なり、並列や同期の振る舞いを表すことができる。 |
イ | × | クラス図は、クラス間の相互関係などを表現する。 |
ウ | × | 状態遷移図は、システムの状態と別の状態への遷移条件を表現する。 |
エ | × | ユースケース図は、システムが利用者などに提供する機能を表現する。 |
問題65
組込みシステム開発において、製品に搭載するLSIを新規に開発したい。 LSI設計を自社で行い、LSI製造を外部に委託する場合の委託先として、適切なものはどれか。
ア | IPプロバイダ |
イ | デザインハウス |
ウ | ファウンドリ |
エ | ファブレスメーカ |
解答:ウ
<解説>
LSI(Large Scale Integration :大規模集積回路 )とは、多数のトランジスタやダイオード、抵抗、コンデンサなどの電子部品(素子)を、一つの半導体チップに組み込んだ集積回路(IC)のことである。ICとほぼ同じ意味で用いられることも多い。
ア | × | IPプロバイダ とは、設計した回路構成などのIPを販売する企業である。 ※IPは設計資産(Intellectual Property)のこと |
イ | × | デザインハウスとは、半導体の回路設計のみを行う企業である。 |
ウ | ○ | ファウンドリとは、主に半導体業界で,自社では設計せずに顧客からの設計データに基づいて製品を造る企業である。 |
エ | × | ファブレスメーカとは、工場を所有せずに製造業としての活動を行う企業である。 |
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